水を掬すれば、月 手に在り 「春山夜月」
この詩も昔から好き。月は仏心のメタファーなんだね。やっぱりすげーや、漢詩の世界。
さまざまなドラマのある人生。同じ時間、違う場所で、手のひらに掬った水に映った月。
生きてゆく力を月から貰って、歩き始める人たち
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疲れ果てた旅人が 道端の小川に立ち寄り 水を掬った
手のひらの中の 小さな水面に 月が映っていた
傷だらけの 心を照らす 月が揺れていた
涙をこらえて歩く 子供がいた 学校で辛いことがあったらしい
家に帰る 橋を渡りかけた時に 川面に映る 月が微笑んだ
今にも潰れそうな 小さな心に 月が膨らんだ
静謐な池のほとりに 佇む老人 水面に映る月が 笑った
若い頃の 栄光と後悔 後悔と自信 通り過ぎた時間に
ご苦労様と 月が 笑った
同じ時間 違う場所で
月は そこに在る