助けあいジャパン

May 20, 2008

刺戟的な食事

昨夜ラーメンについての文章を書いたんだけど、実はラーメンについて書こうと思って書き始めたんではなくて、「刺戟的な食事」についての考察をしようと思っていたのだ。いつのまにか、シンプルでチープで不健康な東京ラーメンは姿を消した、みたいな話になっちゃったわけだけど。

僕らが子供の頃の日本人の食事は、もっとシンプルだったのだ。だから台所の調味料にしても、醤油、塩、砂糖、酒、味噌、みりん、酢、味の素くらいかな。出汁の素なんて一般的じゃなかったし。そのなかで「胡椒」とか「山椒」なんて、特殊な香辛料という立ち位置だったわけですね。ケチャップ、マヨネーズ、ウースター・ソースとかバターは、洋物の調味料なわけだけど、その立ち位置だって今とは全然違う。今アタリマエのように使っていて昔はあまり一般的じゃなかったものなんてたくさんある。

カレー→(特別に刺激的で)辛い料理、という認識は、バナナ→滑って転ぶ(笑)というのと同じくらい、当時の一般常識だったわけだ。逆に言えば、そのくらい、シンプルでプレインな味の料理を食べていたのだな。
世の中が豊かになって、僕らも含めた一般人が簡単に海外旅行が出来る時代となった頃から、劇的に変化しだした感じがする。昨日ラーメンの話はここから始まるはずだったのだ(笑)。

ニンニクは今ほど日本の食卓には上がらないものだったし、キムチも特別な食べ物だった。焼肉をはじめて食べたのはたしか中学生だと思う。差別的な意味合いだって昔はあったはずのものなんだけど、ある時期からあっという間に一般化した。だって、最高においしいんだもん(笑)。パスタといえば、ケチャップ味のスパゲティ・ナポリタンと称していたものか、ミートソース位しかなかったし、洋食というのはカツレツ(トンカツじゃなくて)、ハンバーグ、グラタンくらいかな。逆に言えば、昭和40年代の中ころまでは、日本人の口に入る料理というのは、かなり保守的だったわけだ。

エポック・メーキング的な出来事としては、やはり東京オリンピックと万博だろう。その後に続く海外旅行ブーム、さらにバブル期・・・そしてインターネットと物流革命か。

外の世界を知った日本人は、本当に様々な国の料理を受容してきたし、日本国中の食材や料理をどこでも食べられるようにしちゃったのだね。一億総(えせ)グルメ化というコマーシャリズムともいえる。「留保ナシ」に悪い事とはいえないんだけど、特異なことであることは確かだな。エスニック料理とか今まで経験したことのないような様々な味やスパイスを経験しちゃうと、その先はキリがないくらい先鋭化していく。いつのまにか日本の一般家庭の食卓での味付けも、多国籍的なものになる。外のご飯にいたっては、なんでもアリの世界。その先の先にあるものは、どんな世界なんだろう??

異性のことを思い浮かべるだけで顔を赤らめていたような純情な少女が、いつのまにか妖艶でセックスが大好きで浮気症で、次から次へと男から男へ渡り歩くようなセクシーな女性になってしまったように・・・って、喩えが悪いか(爆)。やはりナイーブな時期には「基本」を知らなければ、とんでもないことになるんじゃないか?

考える余地のいっぱいある問題だ。耳タコだけど、やはり食育って話になっちゃうのかな?
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