院長室の机の中を整理していたら、
亡くなった父の蔵書印を見つけた。
僕が学生のころ父から貰ったもので、
自分で使う事なく
いつのまにか所在がわからなくなっていたものだ。
昔は本は今と違い、
「特別なもの」であり
「蔵書印」を記すことで
所有したことに特別な
気持ちをこめたのだろう
蔵書印は、当時の流行だったのかもしれない
学徒出陣、シベリア抑留、敗戦後、大学再入学、戦後の復興期。。
平和である事を、常に感謝して自分たちは贅沢せずも
子供達に教育のチャンスを与えてくれた
そのシンボルがこの蔵書印なのかもしれない
余暇には常に何か読んでいたし
全集や画集が好きで集めていた。
平和な世の中で、自由に最大限学べる環境
子供達に受け継がれるその思い、
「誇らしさ」
読書家であったけれど
家に実際に立派な書庫があったわけではないし
特別立派な図書室があったわけではない。
ひとりの読書好きの
サラリーマンであったけれど
いつか自分の書庫をもつことが
「憧れ」であり
彼の「決意」だったと思う
それがこの蔵書印なのだ