1985年秋
長女 加南子ソフィア
先日、メージャーリーグの選手の奥さんが出産で
産後の休暇について誰か話していた
今や夫の産休は
アタリマエなので
サンキュウという必要もない(笑)
アメリカでの二人だけの出産
若かったからできた
ある意味、無謀だったけど
毎日がきらきらと
輝いていた日々
その前日に、たまたま新しいベッドを買うことになり、
急遽大きなベッドマットを、中古のBMW320の天井に積んで
バタバタしながら移動した。
その夜、産気ついた。
ボクも尚子も医療従事者ではあるけれど
自分の事としては初めての体験
産気づいたのが夜。
電話連絡して
自分たちで運転して病院へ向かった。
早朝に生まれて
次の日の朝退院した。
全てが夢の中の出来事のような
気がした。
ところが、現実はその夢のように
うまく行くとは限らず、
すぐに毎日の生活の中に
突然現れた「かわいい怪物」に
若い僕らは右往左往することになった。
さしあたり買い物が必要だったので、
僕が自分で運転して新生児用のベッドを括り付け
その夜、ラルフスに買い物に行った。
前の日に出産したばかりの尚子
僕は「まだ名前のついてなかった」赤子と
二人で車で待っていた。
壊れてしまいそうなくらい
小さい赤ちゃん
ひ〜ん、ひ〜んと
まだ弱っちい啼き声
本当にこれから育てて
いけるんだろうか?という不安
この腕で抱いた時
これからどんな事があっても
一番先に、一番強力な助っ人になって
守ってあげようと思った
「何が何でも守ってあげる」
「こいつらのためなら何でもできる」
という想いが
ふつふつと湧いて来た
すべてが愛おしかった
翌々日、病院に出た。
日本の感覚で、僕としてはこの5日間病院を休むことで
申し訳ないなあ、と思って出て来た訳だが、
突然現れた僕を見てスタッフはビックリしている。
その彼らの姿を見て、逆に僕の方がびっくり。
スタッフは当然僕が尚子とベイビーに付きっきりで
当分病院を休むものだと思っていたのだ。
こんな時にMarcは何をやっているの?
男って本当にだらしないわ。
尚子は大丈夫? と応援多数。
結局2週間の産休が認められ、職場に復帰した。
ああ、懐かしい日々。
あれから時間が経っているので
アメリカの事情も随分変ったんだろう。