メキシコの国境を越えると、急に土埃っぽくなる。
国境の街ティワナを越えて、エンセナーダに向かってドライブした。
灼熱の乾燥した風。ヒリヒリするような熱い空気。
海岸沿いのフリーウェイの傍らに、掘っ建て小屋のような店がある。
店に入ると数を聞かれる。オーダーするのはそれだけだ。
少年達が路肩から海岸線のほうに降りて行き、
生け簀の中から大きな伊勢エビ(ロブスターではない)を
ひとり一尾づつ持ってキッチンに上がってくる
そしてまだ動いているその巨大なエビを
頭から尾っぽまで半分にスパーンと切る。
キッチンには大きな鉄板があってそこに並べ
オリープオイルをさらさらさら〜とかけて
香ばしく焼けた伊勢エビに
塩と胡椒で味を付け
ライムを絞って噛りつく。
それだけ(笑)
溶かしバターとか
サルサとか、一切なし
言葉が出ない程、美味しかった
30年以上前の記憶でも
あの味ははっきりと憶えている
その後、プエルトバジャルタの高級リゾートに
学会で宿泊した事もあるけれど
同じ料理は見つけられなかった。
美味しい記憶は刻み込まれている。