助けあいジャパン

August 28, 2008

ロンドン、1973年

研究日。午後から友人のU先生のバックアップで世田谷の有料老人ホームで往診。何回か伺ったので顔見知りになったおじいちゃん&おばあちゃんの健康チェック。人生の大先輩達の生き様。医師をいう仕事をしていると、どんな人生であってもプラスとマイナスのバランスというものは、最終的にはとれているのだ、という事実を直視することになる。年老いてしまえば、生まれや生い立ちや職業や家族環境や社会的な地位とか・・・全然関係ないってことなんだな。人生ってナンなんだろう・・・諸行無常。僕は肯定的な楽観論をとるな。みーんな年老いてしまえば、子供に戻ってしまう。というか、人生の初めと終わりの「子供のような状態」というのが「素」であって、その中間は「泡沫の夢」ということなのか?

さて、その往診を終わり、Sさんの車で送ってもらいMクリニックへ。Sさんは有能で素晴しい医療事務の女性。今回のバックアップ往診が快適に進められたのも彼女の力があったから。気配りが素晴しい。是非ウチの病院へ来て欲しい(笑)。諸般の事情で今回でバックアップは終わり、ということでSさん&スタッフにお別れをいう。またどこかでお会いしましょう!と。

さて5時過ぎから、U先生のMクリニックの予約の患者さんの診察開始。3人目の患者さんの名前になんとなく聞き覚えがある。でも姓も名も珍しいものではなく、普通に診察を開始した。このところ熱のある80歳の男性。病気で片麻痺があり今は車椅子。こちらの話すことは理解できるが、ご自分でお話はできない。付き添いの奥様にお話を聞き、通常の診察を進めて、診断し処方をコンピューターに入力・・・していたら、ふと思い出した。本当になんの脈絡もなく、ロンドンのマーブルアーチにあったIさんの自宅のリビングの情景・・・

「あのう・・・もしかして、以前ロンドンに住んでいらっしゃったことはありませんか?」
「ええ(当惑気味・・・、どうして!」と奥様
「もしかしてS銀行のロンドン支店長だったIさん?・・・ですよね!!」
「はい・・・!」

高校2年のとき、英国のケンブリッジに夏季留学していた際、オヤジの同期だったIさんのお宅にお邪魔して食事をご馳走になったのだ。

その後はいろんなことを想い出して、懐かしい会話。ケンブリッジの食事に飽きて日本食が食べたくて週末にロンドンに遊びに行った帰りにマーブルアーチのお宅にお邪魔してとんかつとか刺身とかお米のご飯とか、奥様が驚くくらい友達と食べたんだ。じょうじ君やさくちゃんがいたかどうかは憶えていないんだな。たしかモリタとかキイチローがいたと思うんだけど。

その後、ロンドンに遊びに行ったときにSOHOの中華料理のお店に連れて行っていただき、ご家族と食事をした。3つくらい歳下の女の子とその下の男の子がいたことを想い出した。テニスが上手でかわいい女の子だった。お二人ともお元気とのこと。SOHOからマーブルアーチのお宅に戻り、ケンブリッジに帰る電車に乗るべくキングスクロス駅に戻るのに、車で送るというIさんご一家の申し出をお断りして、終発間近のバス停まで走っていった!ことも奥様はしっかり憶えていて・・・その情景をくっきりと思い出した。

ああっ!それにしてもこんな再会ってあるんだな。人生って本当に面白い!「縁が疎」ということもあるって話をちょっと前に書いたところだったんだけど、それも不思議。やはり人と人とは「縁」なんだね。

神様の存在を感じた。
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