かぜさんの「人生を変えないラジオ」の今回の御題が「クリスマス」ということで想い出した。
短編小説の巨匠オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」。たしか高校の英語のリーダーだったかな。
ジムとデラという貧しい夫婦がクリスマスにお互いに贈り物をする。お金がないので、デラは自慢の美しい長い髪の毛を切って売り、ジムの懐中時計につける鎖を買う。ジムは、自分の宝物の懐中時計を売ってデラに髪飾りを買うっていう話。題名は「賢者の贈り物」で、「愚者の……」でないところがポイント。つまり、二人はすごく愚かなんだけど、行った行為そのものは気高く美しい「賢い」ものなのだ、っていう話ですね。
当時の僕は、この貧しくも愛し合う二人の、美しく哀しい物語に、素直に感激したわけですね。
でもさ、この歳になってみると、この話の根底には、クリスチャンの偽善的な部分が透けて見えるように思えてならないのですね。シニカルな見方をしてしまう、僕の悪い癖かもしれないけど。
デラが美しい髪を売る決心をしたのは、「髪なんてそのうち同じように生えてくるもんじゃない。」っていう気持ちがどこかにあったんじゃないか?とか。ジムにしても、そんなに生活が苦しいんだったら、大切な懐中時計を売るなんて行為は愚かなことで、今年のクリスマスにはプレゼントをあげられないけど、もっとしっかり働いて来年はプレゼントをあげられるように頑張るから、ってデラに言えばいいじゃない、とか。
だから・・・
この二人は、お互いを愛し尊重しているようにみえて、実は自己欺瞞の愛情に浸っているだけじゃないか?って思うのね。現実的な生活ってのは、そんな甘いもんじゃないんだからさって感じ。ムリすることないよね。
でも、それが若さってことなんだけどね(笑)