今日の午後、15年来の友人のKenさんが亡くなった。当時黎明期だったニフティのパソコン通信のチャットで知り合って以来のお付き合い。僕より10歳年上なのに、その年の差を感じさせない人だった。
酒とタバコを愛し、夜の街とカジノと、旅が大好きだった。全共闘世代として青春期を送り、生涯そのラディカルな生き方を貫いた。生活は超楽観的で、ある意味では、とても享楽的なところもあったし、仕事面ではその「適当さ」に、僕自身は閉口した時期も(実は)あったのだけど、彼の穏やかな人柄と少年のような無邪気なところは、大好きだった。
一緒によく飲んだし、ニュージーランドの自宅を訪ねてきてくれたり、ラスベガスで落ち合って2回一緒に遊んだ。六本木にある彼の家に家族でお邪魔したこともあった。窓から見えるデコレーションされた東京タワーが、僕のクリスマスツリーだなんて冗談を言っていた彼。楽しかった思い出の数々・・・
ここ2年くらいは諸般の事情で会っていなかったのだが、10月にひさしぶりに病院に来て出会った彼は、80歳の老人のように老け込んでいて本当にびっくりしたのだ。が、彼自身は病気のことはその時点でうすうす感じていた(いや、たぶん確信していた)と思う。
医師として友人を看取るのは、辛いものだ。でも僕は、彼の人生の最後のフライトのランディングをしっかり見届けて、できるだけソフトランディングするよう最大限の努力をしたつもりだ。その意味で、医者として悔いのないケアは出来たのではないかと・・・今はそう思いたい。
直前まで朦朧としつつも意識があり、お見舞いの人たちと談笑していたのだが、彼らが帰ってその直後に意識が薄れ、本当に眠るように逝った。妹さんに看取られての最期だった。安息の地に着いて微笑んでいるような顔だった。
彼らしいといえば彼らしいランディング。
Kenさん、享年59歳。
合掌