助けあいジャパン

August 19, 2012

人生の収め方(レクチャー・メモ)

4月9日に脳腫瘍が発見され、12日に緊急入院で16日に緊急手術。あまりにも緊急事態だったので、医師である僕でさえ状況を把握するだけで精一杯だった。前日までまったく健康の不安もなかったし身体の不調もなく普通健康に生活してきた「元気なおっさん」に突然起こってしまった人生の緊急事態。人生一瞬先はわからないのだ。でも、誰にでも起こりうるのだ。

その直前まで全力疾走で社会生活を送っていた。だから、入院や手術で突然生活を中断することになって、これは困ったぞー、と。「身辺の整理」だけでも、最低でも1−2週間はかかるだろう…と思ったのだ。いろんな人に連絡したり調整したり複雑で気の重いあれこれがあるもんだと思ってた。

ところが、実際には愕然とするほど生活の整理はできてしまうものだった。それも驚くほど短時間に、それほどの労力を使わずに。これは本当にオドロキだった。様々な人と複雑に関わっている仕事関係、人間関係、組織のこと、プライベートでは保険とかローンとか教育の様々な事柄も、もっともっと複雑で多大な労力を費やすものだと思い込んでいた。しかし、結局時間が限られてしまうと、大切な連絡を2−3箇所入れるだけで、ほとんどすべての連絡は済んでしまった。結局は「なるようにしかならない」わけで、事実「なるようになる」(する)ものなのだ。僕の場合、数時間で概ね終わり、事務的なことも大きな方針さえ決まれば、その他のことは1日で大部分は終わってしまった。結局入院までの2日間くらいで、呆気ないものだった。

つまり、その程度なのだ。結局は、自分が思っているほど複雑でも大変でもなく、多方面に大きな影響を与えることもなく、あっけないほど簡単に整理できるものだった。つまり、僕らは自分では結構いろんなことをやっているつもりも、実際には大きな「ご縁の環」のなかで、人間は小さく細やかに存在しているにすぎないということなのだ。
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