昔々のある日の午後、王様が一番信頼できる家来達に言った。
「わしは、大切な宝物が一杯ある。我が王国の賢者達よ、その宝物をわしが安心して置いておける金庫を作って欲しい。絶対に開けられない金庫じゃ」
一番賢者アーサーが言った
「恐れながら王様、{絶対に開けられない金庫}というのは矛盾しています。{王様だけが開けられる}という意味ならわかりますが。」
「うむ、その通り。アーサーの言う通りじゃ。わし以外の誰もが開けられない金庫を作って欲しい」
「御意・・・・」
賢者達は考えた。
ある天才数学者は、連続的な解答不能の問いを繰り返す迷路を考え始め
ある天才地質学者は、世界中で一番地質の安定した場所を探して、巨大な穴を掘り始め
ある天文学者は、ブラックホールの向こう側にある場所をスーパーコンピューター使い計算し始め
ある心理学者は、万人の心の奥底にある「欲望」という名の「空洞」を世界で一番深いマリアナ海溝の底まで捜しに行き
ある物理学者は、素子の「ささやき」と我々の宇宙の果てにある「時間のねじれ」の違いを考え始めた
ある医学者は、完璧な金庫を開ける権利のある王様のための不老不死の薬を研究した
そして1週間後の賢者の会議で、議長が言った
「賢者達よ、君たちの結論は出たか?」
賢者全員が大笑いをした。
「議長! 私達の求めているのは{真理}なのです。それが1週間で見つかるわけがありません!」と物理学者と医学者が言った。他の賢者達がうなづいた。
「賢者達よ、それなら、どのくらいの時間が必要なのだ?」
一番賢者のアーサーが代表して議長に答えた。
「私達にもわかりません。しかし賢者は賢者なりのベストを尽くし、年老いた{王様の生きているうち}に解を見つけるべく鋭意努力します。」
議長が言った。
「賢者達よ。汝等のベストを尽くすが良い。王様は待っておられる。」
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で、賢者達は何を見つけ何を思ったんだろう???
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「で、この話の教訓は?」と彼女は言った。
「何にもないさ、だたそれだけの話さ」と僕。
「えっ?そんなことないでしょう?世界中の賢者達が一所懸命考えたんでしょう?」
「そうさ、そうだよ。でも賢者達は解を見けられなかったんだ。」
「じゃあ、王様は{絶対に開けられない金庫}は得られなかったってこと?」
「そうだよ。でも、彼は意外なことにすごく身近に見つけたんだ、{絶対に開けられない金庫の鍵}を」
「そうか、そうなのね。絶対に開けられない金庫は、出来たのね!」
「答えはYESでもありNOでもある。{絶対に開けられない金庫}なんて、初めから世の中に存在しないのさ。でも、王様はそれを判っていて賢者に命令した。そして、彼(王様)はその鍵を見つけたのさ。」
「わからないわ、あなたの寓話は。起承転結の結が見えないわ、私には」
「鍵は開けるためにあるんだ。開けられない金庫は存在したとしたら、その金庫には鍵はないだろ。それ自体自己矛盾なんだ。それは紀元前1600年の殷の時代の象形文字に記されているという。つまり{真理}なわけだ。」
「だとすれば、王様のその問い自体が意味のないことじゃない」
「もちろん、王様はわかっていたさ。その問いの意味のないことに。でも彼の素晴らしさは、その問いかけをすることで、王国のすべての人が幸せになることをわかっていたことなんだ。」
(後略)==============