June 10, 2010
湘南ドライブというRemedy
研究日。朝6時テラスに出たら、すごく気持ちのいい天気で、今日は車で移動する事に決めた。今の車を運転するのもあと2日。特に不満もないし、バランスのとれた素晴らしい車なのだけれど、日々の移動に車を使わなくなってからは、このサイズの車の取り回しが億劫になって、今年の車検を期に車を新しくすることにしたのだ。
3時すぎに瀬田での仕事が終わり、東名を西に向かっていたら、海の近くをドライブしてみたくなった。若い頃のように車を運転する事が目的の、夕日を見るためだけのドライブ。横浜インターで降りて横横を南下。衣笠から三浦縦貫道を通り134へ。夏前の人気のまばらなビーチを眺めながら西に向かい、葉山、逗子方面へ。その昔のドライブ・デートの王道だな(笑)。久しぶりに走ったら随分道沿いの風景が変わっていて、ちょっと新鮮。とろとろさくさくと気持ちよく進む。窓から入る潮風。その昔のちょっと甘酸っぱい思い出とか辛い思い出とかを思い出したりして(笑)。何十年かしてこうやって懐かしく思い出しながら、一人車で走るような事があるなんて、その当時は想像さえしなかったけど。この先、さらにジジイになってから、同じようにドライブしてもこの感覚があるんだろうな・・・って思った。歳とって惚けそうになったらまたドライブしたらいいかも。きっとシャキッとするだろう(笑)。それがわかったのは収穫。浅田次郎の短編小説を思い出した。霞町物語の中のエピソードだっけな。
長者ヶ崎から葉山御用邸を経て逗子に向かう一帯には、海に面したいい土地がある。カリフォルニアのMalibuとかZumaのビーチサイドの邸宅街みたいなエリア(ちょっとだけ、だけど)。この辺りは個人所有の土地としてもまず市場に出てこない物件なんだろう。宝くじが当たったら真っ先に買いにこよう(笑)。そんなバカな事を考えながら森戸海岸から鎌倉由比ガ浜、七里ケ浜、江ノ島を通って茅ヶ崎まで。「雨の鎌倉」のBGMだったらばっちりだったろうけど、今日はFM。先に事故があったらしくこの辺りはダラダラ渋滞だったけれど、逆に海が眺められてよかった。サンルーフから入る潮風が心地よかった。
茅ヶ崎辺りは再開発できれいになった。その昔の「ホテル・パシフィック」は跡形もなくなってしまった。僕の子供の頃の「湘南のイメージ」の原風景はあそこにあったと今でも思う。でも1970年代後半には昔の栄光は既になくなっていて、僕が運転をするようになった19歳の頃、その当時付き合っていた彼女と満を持して(笑)ドライブの帰りに食事に寄った時に、そのあまりの変貌にがっかりしたのを思い出した。つまり、あのホテルは輝いていたのは、限られたある時期のことなんだな。蜃気楼のような時空。しみじみ。今は134沿いにあっけらかんとこぎれいなラブホテルが並んでいるのが、面白いんだけれど。
夕日が沈んだので、平塚ちょっと手前でUターンして帰路についた。約2時間のドライブ。過去へのプチ・タイムスリップと未来へのドリーム・トリップ。こういう目的地のないドライブって、ちょっと疲れた日々の気持ちをリセットするにはいいかも。その楽しさを再発見した。こんなに忙しく追いまくられるような日々でも、たった2時間でリフレッシュできる。