February 1, 2011

悪魔のように繊細に、天使のようにしたたかに


今日から2月。年度末に向けて外部の会合や会議に忙しい時期だ。今日は午後からお茶の水の東京都医師会館で救急医療の会議。この会議には今年で8年連続で出ている。救急医療という「社会の縁の下の力持ち」的なシステムを支えるために、行政も医師会も現場の僕らもいかに「泥臭い」努力をしているかをもっとアピールしてもいいと思う。会議の後は神保町にて本を物色。今日買ったのは、見城徹「編集者という病」(集英社文庫)、内田樹「ひとりで生きられないのも芸のうち」(文春文庫)、大鐘良一・小原健右「宇宙飛行士選抜試験」(光文社新書)。

見城徹「編集者という病い」は一気に読んでしまった。バブル崩壊の直後に、僕ら普通の読者の前に忽然と現れた「幻冬舎」という出版社の出す本はどれも刺激的だった。そのユニークな会社を作ったのが「見城徹」という人だという事を知ったのは、数年前の「情熱大陸」だったと思う。彼の編集者としての朱の入れ方は凄まじいもので、眠る時間を削り身を粉にして作家に向き合う姿には驚いたものだ。以後、僕の「気になる人のリスト」の上位にあった人なのだけれど、この本が文庫化されていることに今日気がついて、一気に読み切ってしまった。

まさに怪物。繊細にして豪放、ナルシストにしてエゴイスト。自分の感性と勘を信じているだけでなく、着実に実績を残している。自身は自分が小心だというが、やっている事は大胆で奔放。野心家。表現者への惚れ込み、自分を削り込むように向き合う。まさに「持っている」人なんだろうな。人間力のレベルが違う。天才。死ぬまで守りに入る人ではないだろうけれど、こんな本を出すことになるということは歳をとったということなのかも。こういう人には「生き急いで」欲しくないのだけれど。