February 2, 2011
当直中に読む雑誌の話つらつら
月1回の当直中。今日も今のところ通常通りの流れで無事今に至る。ふむ、このまま朝まで静かであるという保証はないけど(ぜんぜん)、休める時に休んでおこう。文藝春秋2月号をつらつら。抗がん剤についての立花隆と近藤誠の対談は、この手の一般雑誌でやる事じゃない。お二人ともそれなりの説得力のある議論が出来るだけに、悪い影響が現場に出ないか心配だ。彼らの一方的な議論を公開する場として適切だとは到底思えない。サイエンスは公明正大な舞台で堂々と透明性をもって論じされるべきだ。特集「中国とこれからの正義の話をしよう」。これはいろいろと知る事が出来ておもしろかった。。中国における「反日」運動に関する報道に接すると、日本人は複雑な感情(侵略戦争に加担したという引け目、逆な意味での被害者意識、こちらのいい分を理解してもらえない焦燥感、アンフェアな感情、などなど)になる。今回の尖閣列島の問題とか反日暴動デモとかがあると、不気味な国とその国民という「仮想敵国」論が台頭してしまう。でも、今回の特集を読んで、わりと多面的な見方でかの国を見てみると「なるほどね、やっぱりね、そーだろうな」と合点がいく部分も多かった。三笠宮が終戦直前に書いた「支那事変における日本人としての内省(幕僚用)」という文章は、画期的なものだけに、軍部に捻り潰された(あるいは黙殺された)んだろう。李登輝さんの「美人をみたら自分の妻だと主張する国」という文章はさすがの指摘、実にわかりやすい。中国文学者の高橋俊男先生の中国の権力構造についての解説を読んで初めて腑に落ちた。日中関係の未来のためには、無知蒙昧はよくない。喰わず嫌いも思い込みも偏見も偏向も有害だろう。一度日本のマスコミ各社を読んで講義した方がいいかも(笑)。その逆も当然必要だろうけれど、かの国にカウンターパートはだれかいるのかな。共産党独裁でありながら開放政策という市場経済を突き進んでいくという自己矛盾を抱える国。大部分の特権的な階級(共産党指導層)がどんどん利権を持って富んでゆき、13億人の残りの大部分はどんどん貧困に喘ぎ不満のマグマを蓄積してゆくとすれば・・・ま、行方は言わずと「そういうこと」にならざるを得ない。かなり確実に。その文脈の延長として、麻生幾の近未来小説「海民襲来」を読むと、痺れる。こういうハードシェルでソリッドな感じの小説って好きなんだ。ウェットでジュルジュルのも嫌いじゃないけれど(笑)。あ、話が逸脱した。日本が国家としてこの異形の大国とこれからどう付き合うのかは、我々の生活に直結する危機管理の最重要課題だろう。骨のある政治家と志の高い官僚に期待したい(どこかに居るとすれば、の話だけれど)。文藝春秋は持ち歩くには重過ぎるけれど、このてんこもりの内容で790円、1ヶ月間の気の向いた時に読めるなら、僕は安いと思う。コンテンツ(特集や小説、随筆ごとに)を電子データで小売りしたら、僕は買うな。