昨日に引き続き、98歳大往生の婆様の告別式。和やかかつ厳かかつ穏やかな雰囲気で、ある意味親族一同ホッと安堵しつつニコニコしているような告別式だった。亡くなる数日前まで話をしていて、ぱたりと眠りに入ってそのまま自宅のベッドで死んじゃうなんて、本当にお見事!幸せな幕の引き方だ。98年間の人生には山あり谷あり楽しいことや辛いこともあったはずなんだけど、人生の黄昏時は誰にでもやってきて、その時には、すべてのメモリがゼロに戻ってリセットされる。つまり生まれた時と同じゼロ。これから始まるゼロとこれで終わるゼロ。プラスマイナス・ゼロ。
どんなにプラスになってもどんなにマイナスになっても、結局はゼロに戻るわけだ。どんな人生でも。諸行無常という言葉には、虚無的なニヒリズムみたいな印象があったけど、もしかしたらそういうことだったんだな、と感じた。
火葬場から帰り、お清めの宴会で、日頃あまり話をする機会のない甥や姪と話す。
「日頃遊びまくっていたけど、この伯父様(僕のこと)は試験前の要領の良さで、医者になっちゃったのよ」と姉
「へー、そうだったんですかぁ・・・」と、大学生の甥
「まあね、ははは、ま、要は集中力だわな、ははは」と僕
尊敬のまなこで見る(素直な<笑)甥&姪たち
ここでちょっといたずら心を出した。
「徹夜で超集中して勉強していると・・・まあ、乾いた砂に水が浸み込むみたいに内容が入っていく。これは日ごろ中途半端に勉強してちゃダメなのね。僕みたいに徹底的に真白(笑)だと、最高に効率がいいのだ」
「ふむふむ」と甥&姪
「そうすると、だんだん幻聴や幻視が出てくるんだわ。で、こうなったらもうシメタもんなのさ。この時点でスパッと勉強をやめちゃう。たとえ途中でもね、すぐ寝ちゃうことにする。全然関係ない雑誌のヌードとか見たり、好きな音楽を聴いたりしていると眠くなるわけだ。で、ある瞬間、翌日の試験問題とかが「ちらっと見えたり聞こえたり」するの。イメージとしてね。いつもじゃないけど。コツをつかめちゃえば、結構起こるんだよ、こーゆー現象が。まあ、才能というか生まれ持った性(さが)というか・・・(笑)」
「私、聞いたことがある、その話。ふうん、やっぱりそうなんだ」と姪(昨年、文学部心理学科を卒業している)
「これを大脳生理学的には、試験前短期集中瞑想法、というのだ。これはまあ、常識だな」
「へーーーーーーーー。そんなの知らなかった。」と、大学生の甥
「・・・・・なわけないだろ!(爆)。やっぱり一番いいのは、地道に勉強することなの!だから一夜漬けで苦労したのだ、オジサンは!」
会場の婆様の遺影が笑っていた。