今夜の会合。N先生と隣の席となった。現在、A病院の院長で外科医としての大先輩。親子ほど年の差がある。元東大教授で東大の病院長を経て神奈川がんセンター総長を歴任した、まあ言って見れば我々の業界では雲上のスターみたいな人。でも、この人そんな華麗な経歴を全然感じさせない人柄なのだ。
1986年、僕がアメリカ留学時代にメキシコの学会(プエルト・ヴァジャルタ)でLA小児病院から論文を発表したときに向こうで初めてお会いした。当時N先生は東大の教授になったばかり。怖いもの知らずだったあの頃の僕はパーティの席上で、「先生、東大の教授の給料っていくらくらいなんですか?」などと酔っ払って聞いて、日本から来ていたお連れのドクター達の度肝を抜いた(爆)。「ええと、手取りで35万くらいです。ははは」とN教授。「えええっ、ウソでしょ!」なんてね。飾り気のない彼の人柄は当時から有名だったけれど、日本の医局からスピンアウトしているチンピラの僕の(本当に)不躾な質問にも正直に答えてくれたことに、当時は相当感激したのだった。今思い出してみると、赤面ものなんだけれど。
その後も、学会でお会いすると僕のことを思い出してくれていて、懇意にしていただいた。時は流れて、またご縁があって、彼が世田谷のA病院の院長になられることになり、ここ数年はしばしばお会いする機会を得ることになったわけだ。
今日は隣の席ということでお話をした。あれだけの経歴の人なのに、今でも本当に気さくで素晴しい方だ。偉ぶったところは全然なく謙虚だし、ユーモアもあるし、もう70歳を過ぎているのにとにかく発想が自由。東大の元教授(しかもそのトップの病院長だった)というのに、ご自分の解らないことは素直に質問して、イヤミなところが全然ない。
本当に育ちのよさと本当の頭の良さ、なんだろうな。
すごい人だと思う。