高橋秀実(たかはしひでみね)という作家は「ノンフィクションライター」というカテゴリーに入るらしい。この本は(僕が勝手に心酔している)成毛眞さん(師匠!)のブログの推奨ということで買った「ご先祖様はどちら様」の「ついで」のつもりで買った本だけれど、これが最高に面白い。抱腹絶倒であっという間に読了。まず1961年生まれということで、同世代的同時代な共通の価値観がある。ノンフィクションライターにありがちな卑屈に謙る態度もないし、逆に「俺は知ってるんだ真実を!」的な異様に高飛車な横暴さもないのがいい。ただ淡々とクールに「トラウマな人々」の取材をして描写していく。
「トラウマセラピー」で懸命に自分のトラウマを探す人、「ユーモア学校」に入学して笑い方を学ぶ人、過激な「セックス本」に狂奔する女性、「田舎暮らし」や「資格」に夢中な人……「自分探し」をする人たちの「ヘン」さについて書いてゆく。あとがきで、自分のアイデンティティ・クライシス(自分が何者なのかわからないという漠然とした悩み)を告白していて、それが妙に自虐的でトラウマティックな感じで最後のどんでん返し的に笑えた。養老孟司さんも絶賛の書評。そんなに期待していなかっただけに満足度高し。☆☆☆☆(文庫本としては久しぶりの☆4つ)
当分はこの人の本をフォローするつもり。忙しい日々でも、今年は週にせめて1冊は本を読もうという年初の目論みは、震災騒ぎで脆くも崩れ去り、積ん読の本がデスク周辺に山積みされてる。ここらでちょっとペースを戻すかな。