October 6, 2010

今のところ不気味に静かな夜

当直中。月一回の病院泊まりの夜。僕は若い頃から「ツく」ので有名。「ツく」というのは我々の業界言葉で、その人が当番の時には何故か急患とか緊急手術とかの患者さんが多いという意味で「あの人の当直の夜はツく」みたいな使い方をする。ちなみに、欧米の病院で同じ意味で使われるのはKarma(カルマ)。He has Karma.(彼はツく)みたいに使われる。仏教用語のKarma(「業」)がなぜ使われるのかは不明だけれどわりと一般的に病院内では使われる言葉。

救急の医療現場っていうのが不思議なもので、たぶんこれは古今東西同じなんだけれど、一旦波が来ると同じような波が文字通り「波状攻撃」的にやってくるものだ。逆に静かなときは静か。東京都内の119番を一手に引き受けて対応している消防庁の救急指令センターにいると、担当者が電話で対応するとデスクの上のランプが点くので発生状況が判るのだが、ぴたっとある時間センター内が静かになるときがある反面、次の瞬間から突然がんがん電話がかかって来たりする。つまり東京都内の様々な緊急事態も均一に起こる訳でなく、その発生には波があるということ。科学的には確率論では説明できない不思議な現象だと思う。その意味では確かにKarmaだ。

とまれかくまれ、先月は超忙しくてヘロヘロになってしまい翌週にまで影響があったくらいなのに、今夜は異様に静かだ。
今のところ、だけれど。