May 31, 2010

誰が龍馬を殺したか

三好徹先生から先日直々に頂いた「誰が龍馬を殺したか」読了。1996年発表の作品。最近の龍馬ブームということで(ちょっと最近盛り上がりすぎているキライはあるけど)光文社が2010年、再度文庫化されたもの。さらりと読めるのかな・・・と読み始めたものの、この本は複雑なプロットが絡み合っていて、本文中の引用に旧文さらには伝聞や口述の速記の部分もあり、それを読むのにかなり時間がかかる。三好先生が膨大な史料を読み込んで分析した部分は、それ自体が緻密な歴史ミステリーなので、僕のような凡人では、じっくりと考えながら読まないと先に進まないし理解できない。結局行ったり来たりしながら1週間かかって読了したというわけだ。ふうむ、なるほど。この手の本は読めば読むほど真実が分からなくなる(笑)。ええっ、浅田次郎説の斉藤一じゃないの(笑)。

僕が初めて坂本龍馬という人のことを知ったのはたぶん小学生のころで、当時の大ベストセラー「竜馬が行く」(司馬遼太郎)をオヤジが読んでいたことがきっかけだったと思う。その後、本棚にあった本編をたぶん中学のころ読んだのだと思う。その頃(明治100年!)にも何回目かの幕末ブームがあって坂本龍馬暗殺についての謎が話題になっていたけれど、今またブーム。

龍馬暗殺という大事件の真相解明のの残っている史料が限られているのも不思議だ。意識的に隠したとしか思えない。幕末ってたった150年前のことなのにあまりにも混沌としているので、幕末オタクの血を騒がせるんだろうな。僕もその面白さが少しはわかった気がする。それにしても、混沌の時代なので登場人物のイメージというものがそれぞれ勝手にあって、その正しい人物像というものが判らないのだな。ご一新で明治の世になって、講談とか小説とか、映画、ドラマとどんどんイメージが広がってしまい、正しい歴史認識っていうものが歪んでしまった感がある。それは先日の講演の話を通じるかも。半藤一利「幕末史」を、今度読み直してみよう。