January 27, 2010

「・・・したことがありますか?」

今朝の通勤時の電車にて。
僕の前に立っていた某有名私立女子高校の女の子ふたりの会話。Web版産経新聞を読みながら、その会話が聞くとはなしに耳に入ってきた。英語のテスト前みたいだ。高校1年生か?

A「じゃ、問題出すね。あたなはウィンディース(えっ?)に行ったことがありますか?」(彼女達の英語教師が作った例文だろう)
B「ええっと、Have you ever been だよね。えーーと、Have you ever been GO WENDY'Sかな。」
A「been to で行ったことがある、だから、been to Wendy'sでしたー」
B「そうか、been toだね。Have you ever been to GO TO WENDY'Sだね。」
A「あれ?なんだか変だ。でも『どこかに行く』のはGO TO だから、それが正しい。」(えっ!ちょっと待って!)

A「じゃ、あなたはチリソース味の豆(何じゃソレ?>笑)をウェンディーズで食べたことがありますか?」
B「chili sauceの豆だから、「の」はofでしょ・・・chili sauce OF BEANSだね」(おいおい)
A「え?違うんじゃない?beans in chili sauceだよ、『ソースのなかに豆が入ってる』んだから・・・」
B「うん、でもwithかもね。ソースに豆がついているんだから。あ、逆か?chili sauce with beansかしら」
A「どっちでもいいんじゃない。たぶん」(おいおい>笑。 正解は単に、Chili beansだと思うぞ、おじさんは)

B「なるほど。それじゃ、Have you ever BEEN TO EAT かな? to 動詞だよね。」
A「でもさ現在完了形だから、have you ever eaten になるんだよ」(うんうん、それでいい)
B「そうなんだ・・・。じゃ、正解は、Have you ever eaten THE chili sauce with beans in THE Wendy'sだ」
A「Theっているのかな?でも数えられないしA じゃないから、いるんだね・・・。それにIn the Wendy's かな at じゃない?場所だから。」
B「Have you ever been to go to the Wendy's? and to eaten the chili sauce with beans at the Wendy's ? ってことだね、ふーーーやっと出来た」(ごっちゃになっている。まったく意味不明>爆)
A「私は、Have you ever been to the Wendy's to go and eaten beans in the chili sauce ・・・at かin ・・・the Wendy's?だと思う。 でも、語尾は上がるのよ、質問だから・・・」 (意味が全然違ってきちゃったぞ>笑)
B「前置詞がと接続詞と時制とイディオムと・・・あああ、英語って難しいね」

彼女達は日本の高校生の英語レベルでいえば平均以上、それもかなり高いほうだと思う。その学校の教師も熱心だし、生徒もかなり勉強していることは明白だと思う。

①日本語を介して英語を学んでいるので、日本語の思考方法で、言葉を「訳す」という感覚が根本的にある。でも英語の論理構成とは根本的に違うので、混乱している。
②従って、文章をぶちぶちに分解して、訳して、組み立てる、という「作業」を生徒にさせるので、最終的には伝わらない。意味が分からない英語になってしまう。さらに生徒は混乱する。
③教師はテストするので、生徒は正しいか間違っているか?という2元論しかない。さらに点数をつけることにより評価するので、間違えることを極端に恐れてしまう。やっぱりみんないい点数をとりたいものね。

今日聞こえた会話で喩えれば、Have you ever been to Wendy's? という状況は、実際にはまずアリエナイのだ。たぶん先生は、生徒達がいつも行くハンバーガー屋さんを設定すれば興味を持ってくれるだろうって考えたんだろうけど。Have you ever been to New York? はある。Have you ever been to the National Museum?もあるだろう。だけど、どこにでもあるWendy'sで聞く事はまずない。英語的には問題ない。でも通常は使わないので、何となく座りが悪い。

うううむ、惜しいなあ。勉強する気もあるし、たぶん彼女達は一所懸命やっているはずなのだ。でもきっと、せっかく現在完了形という文形を学んでも、あれでは実際に使える英語にはならないだろう。彼らは英語を学校の教科としてそれも受験の一教科として学んでいるので、ずいぶんと遠回りをさせられていると思う。すごくしっかりした文型を学んでいるのに使えない、ということになる。そして皆英語を使うことを諦めてしまう。

じゃ、「ウェンディーズに行ってチリ・ビーンズをたべたことがありますか?」というコミュニケーションをする場合の、ごく普通に聞こえる表現は何かというと・・・・

Do you like Wendy's' Chili Beans?  

あるいは、ちょっと気取って

How do you like Wendy's' Chili Beans? かな。

これで必要にしてにして十分なコミュニケーションができる。中学1年の英語。でもこの文章で、ウェンディーズに行った事がある?それでチリビーンズを食べた?気に入った?ということを十分に聞けている。高校生達が一所懸命考えて結局混乱しちゃった文章は、実は使えない英語の典型ということなのだ。

明治時代以来の英語教育の問題点をエラそうに語る気も、その資格もないけれど、英語で苦労した僕としてはなんとかアドヴァイスをしてあげたい、と思った。おじさんのよけいなお節介なんだけどね(笑)。

5本250m。途中右肩の違和感あり上がることにした。五十肩か。下垂ストレッチで対応しよう。