「青豆」の虚無的ないらだちっていうのは、現代を生きる人間の誰もが心のどこかに持っている「流し去る事が出来ない」虚しさとか悲しさとか寂しさとかのネガティブな感情を引き起こす(される)状況と対応していると思う。つまり、不特定多数に共感は得られることは確実。たぶんムラカミハルキが描きたかった世界っていうのは、小説的には壮大な規模の実験的なコミュニティなんだと思う。この小説のなかには具体的には全く描いていないみたいだけれど、読者にその予感というか「胸騒ぎ」を感じさせる物語。色彩的には少なめの色しか使っていないのにね。広さより深さを感じさせる。やっぱ、すげーな、この人。
あと2−3回は読み込まないと、感想文は書けないわ。