December 2, 2008

ドラマ的展開

今日の救急搬送のケース。自殺企図の薬物中毒の30歳の女性の治療をしていたら救急隊から連絡。「あのう、もう一人いるのですが・・・先ほど搬送した方のご主人です」と。「えええっ!どうなっているんだ!」

どんな展開なのかわからなくも、僕らスタッフは、まずその女性の救命に全力を尽くす。
大丈夫、彼女は助かる。そうこうしているうちに、運ばれてきた男性は、意識混濁しつつも何とか話せるようだ。その話を聞いて驚愕した。

うつ病で精神科に通院中だった奥さんから、「これから死ぬ」と朝仕事場に電話。びっくりした彼は自宅に向かったとのこと。帰ってみるとアルコールとともに睡眠薬やら安定剤が大量に散乱していたらしい。すでに意識朦朧の彼女に、ものすごく腹を立てた彼。まだ3歳の子供がいるのだ。「お前のやっていることは、どれだけ周りの人を悲しませるのか、お前に思い知らせてやる!」と衝動的に彼も薬を飲み込んだらしい。

オイオイ、それで本当に自分が死んじゃったらどうするのさ。どうにも理解しづらい修羅場。心中じゃないし、後追い自殺っていうわけでもない。その後判明した事実はさらに複雑で、ドラマや小説のフィクションのような「現実」の話だった。

幸い二人とも救命できたけれど、これから先は、僕らの医療の限界領域を遥かに超えている。