October 7, 2013

蔵書印


院長室の机の中を整理していたら、
亡くなった父の蔵書印を見つけた。
僕が学生のころ父から貰ったもので、
自分で使う事なく
いつのまにか所在がわからなくなっていたものだ。

昔は本は今と違い、
「特別なもの」であり
「蔵書印」を記すことで
所有したことに特別な
気持ちをこめたのだろう

蔵書印は、当時の流行だったのかもしれない

学徒出陣、シベリア抑留、敗戦後、大学再入学、戦後の復興期。。
平和である事を、常に感謝して自分たちは贅沢せずも
子供達に教育のチャンスを与えてくれた

そのシンボルがこの蔵書印なのかもしれない

余暇には常に何か読んでいたし
全集や画集が好きで集めていた。

平和な世の中で、自由に最大限学べる環境
子供達に受け継がれるその思い、
「誇らしさ」

読書家であったけれど
家に実際に立派な書庫があったわけではないし
特別立派な図書室があったわけではない。

ひとりの読書好きの
サラリーマンであったけれど
いつか自分の書庫をもつことが
「憧れ」であり
彼の「決意」だったと思う

それがこの蔵書印なのだ