August 23, 2013

口喧嘩する男達

昨夜の『ART』

3人の独身男が主人公。

「真っ白な絵画」を巡って
さまざまな会話が展開して進む

怒鳴りあうような会話の応酬
いわゆるオトナの口喧嘩
口角を飛ばして
容赦なく
激しく罵倒しあう

ああいうエキセントリックな
会話はたしかに
ほとんど日本にはない
どうしてもドロドロしてしまい
後に「禍根を残す」ことが多い

だから日本の場合
万事が穏やかなのだ
予定調和
バランスを是とする社会

肚の中で何を考えているかを
お互いが察して
穏やかな落としどころを
目指してゆく

社会が平和で安全で
安泰な時はいいのだ

しかしそんな無防備な平穏が
将来も続く保証なんてない

実際、最近の日本のドラマや映画でも
「キレる」のが普通に見られる

ドラマの世界で普通に見られる
ということは、普通の世界で
普通に見られる事だ

ARTで面白いのは
最後の最後まで主人公の3人が
怒鳴りあって空中分解しそうになるけれど
最後は和解して(落とし所を見つけ)
エンディングで観客をほっとさせることだ

この着地の仕方が
脚本の巧さだと思った。
観客は芝居のほぼ全編続く
喧嘩中に
一緒になってイライラしたり
笑ったりする

喧嘩の距離感とか
寸止めの
力加減の違いが
フランス人と異なる

そこがとても面白く
この芝居をみた

和するのが
日本だとすれば
戦って自らを主張するのが
彼らの文化なのだ