June 6, 2013

アメリカの外科医

外科医としてのピークはいつか??
日本の勤務医の場合、立場と報酬が一応一致している
55歳〜定年までがピークということになっている。
当然手術の技量や経験は個人差が大きいが、
基本的にはあまり差を作らないのが日本だ。

アメリカは外科医のピークが早く、若い。
チーフレジデントをする修了する段階で
ほぼその世代のセレクションを通過している。
一番経験と技術がいいのが45歳か。
そして40歳〜50歳をピークを過ぎたらさっさと引退する事が多い。
日本の5〜10倍稼ぐ(正確な数字は不明)

医学部入学時に高額な教育ローンを組むのが普通で、さらに
高額の医療過誤保険料の為に、みんな必死に働くと言ってもいい。
医師であれば何件かの訴訟を抱えているのが普通だし、
保険のプレミアムもキャリアとともに高くなるのが普通だ。

引退のその日まで、馬車馬のごとく
手術しまくる。
朝から夜まで一日中。
もともとアメリカのエリート達は
早朝からよく働くが、
常にケツを叩かれているわけだ。
(日本だって同じだ)

過酷な外科医の生活、様々なストレス
途中で「投げ出す」ことは決して出来ない。
体力と精神力が試される場だ。

いくつまでも外科医をやれるか?
スーパーマン、スーパーウーマンもいるが
多くは「定年&引退を指折り数えて」いることが多い。

その医師の専門にもよるが
引退後、牧場を買い取ったり
世界中旅したり、島を買い取って
のんびり暮らすことを夢見ている。
幸福な老後が待っているから
頑張れるということもある。
いわゆるHappy retirementだ。

ただし、従来の欧米の外科医としての成功引退話も
ここ10年位で変って来て、
「憧れのライフスタイル」に翳りが出て来ているという話も
ちらほら聞こえてくる。やはり経済状態の問題だろう。

ただし、外科医としては引退しても
それまでの経験を生かして
診療をする事や
後進の指導やアドヴァイス
セカンドオピニオンなど
医師に引退はない
いくつになっても医師はできる

これは古今東西の医師の
権利professional freedomといわれる。

日本、アメリカ、ニュージーランドで外科医としての経験から
どの国も様々な医療問題を抱えていることは理解しているつもりだ。
今でも僕は日本が一番バランスの取れた
医療を提供できている国であると考えている。
日本のシステムの素晴らしさ(その有り難さ)を
もっと世界にアピールするべきだ。