博報堂生活総合研究所より
この30年間で日本の人口構成は様変わりした。一言で言えば、皆長生きして寿命が長くなったのだ。今日本は全人口に占める割合でも、人生における時間でも「子供」であることが多数になり、まだその時間が伸びていく。これを「総子化」と呼ぶ。
たしかに僕らが医師になった1982年頃の状況とは全く異なっている。看取る立場の僕らの意識も随分変化した。例えば当時は、胃癌にしても大腸癌にしても80歳以上で開腹手術をすること自体がそれなりにリスキーで稀なことだったのだ。それが今では80歳代でも90歳代でも元気であれば安全な手術が可能となり、それが標準になった。
長生きが当たり前になるとともに「子供」が増えている。それも未成年ではなく、成人であり、かつ自分自身の親が存命である「成人子供」が増加している。
1950年には総人口の29.0%にとどまっていた成人子供の割合は、1965年までに未成年子供人口の割合と逆転、2000年には総人口の約半数を占めているという。たしかに世の中には元気な爺婆とその子供世代が確実に増えている。
2010年の総「子供」数は成人子供と未成年子供で8,700万人という。特に注目すべきは30代以上の「中高年チルドレン」の割合の増加が顕著で、2030年には総人口の約4割を占める込みだという。また、結婚していない30歳代40歳代男女のマスは大きい。未成年に成人子供を加えて「総子供平均年齢」は32.8歳だ。これでは子供は増えないし社会の活性化は期待できそうもない。
親子共存年数は約60年になり、人生の2/3は「子供として」過ごすことになるという視点はおもしろい。いつまでも親のスネを齧って生きていくということでななく、普段は核家族として分散している個々の子供たちの力を集結させ、“一族”というチーム力で困難かつ不透明な時代を乗り切ろうという「一族発想」という考え方だ。家族の生き方の多様性という観点からも興味深い。
日本にある(ことになっている)個人資産のシフトと流動化と絡んで、これが本当に進めば面白いと思う。というか、もうそのくらいしか日本の産業構造を変えて、景気をBreak throughできるインパクトのあることないと思う。ただ、ここまで核家族化が進み生活の多様化が進んだ現代の日本の社会で、どこまで世代間のインテグレーションとかコラボレーションが可能なのか?まさにその先に日本の未来の家族の姿が見えてくる気がする。
さすが博報堂生活総研、興味深く読みました。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/8060