July 11, 2011

3歳の僕にオヤジがくれた的確なアドヴァイス

今日、幼稚園の同窓会の案内と年会費の請求の手紙が着いた。お茶の水女子大学文教育学部附属幼稚園の同窓会「ちぐさ会」。日本で一番古い歴史と伝統のある幼稚園なんだそうな。この歳になって幼稚園の同窓会の案内が自宅に届くっていうのも珍しいかも。僕は「昭和38年、山組」だ(笑)。そうそう、あの幼稚園は二年保育で林組から山組、もう一つのクラスは川組から海組になる。たまたまオヤジの勤務していた銀行の社宅が文京区小日向にあって、そこから近い幼稚園ということで入園試験を受けたんだろう。僕は2月早生まれで2年保育だったから、入園試験を受けたのは4歳前のことだ。なぜか朧げな情景が記憶の襞の深い所に残っている。

寒い朝だった。僕と両親はいつものように朝ご飯を食べていた。オヤジが僕に言った。
「君は今日、いつも通りにしていればいいよ。そしてたった一つの事だけすればいい。じっと先生のお顔の、目と目の間を見て居なさい。先生が話している時は瞬きもしてはいけない。そうすれば先生のお話は全部わかるはずだよ。」と。何の事やら解らない僕は、その日の午前中の入園試験の間中、出会った大人の顔(それも「目と目の間」)をじーーーーーっと観ていた。初めて口頭試問を受けることになった3歳の自分の息子に伝える言葉としては、実に的確で戦略的な言葉だったと思う。

たしかにオヤジの言う通り、その日初めて会う大人達(試験官)の言うことが子供ながらにスゴく冷静に聞けたし、たぶん落ち着いて対処したんだろう。早生まれで3人の合格者の一人になった。後で聞いた話だと、当時の入園試験は今とは比べ物にならないくらい難関だったらしい。亡くなったオヤジが僕に伝えたかったWords of wisdom の最初の言葉だったのかもしれない。当時オヤジは35歳。戦後の高度成長期の典型的モーレツサラリーマンだった。

ちなみに、この幼稚園はそのままエスカレータ式に小学校に進学することになっていたものの、小学部の入学試験があって落ちる子もいる。その時に「マチガイ探し」のテストがあって、示された「魚の絵」に僕は「あっ、この絵のお魚は、眉毛が書いていない!」と言い張ったそうで、となりに坐っていた両親は「あ、コレはダメだ!不合格だ!」と思ったらしい。温情(なんだろう)受かったけれど。