昨日のIさん御夫婦との再会。どうして35年ぶりにお会いしたIさんに気付いたのか?なぜ僕の記憶の底の(本当に)深いところにあるセンサーが感じたのか?ということが不思議でならなかっのだ。その後、いろんなことを思い出していたら、ある「場面」がフラッシュバックした。
Iさんは当時45歳くらいで今の僕より若かったわけだ。僕のオヤジの会社の同期のバリバリのモーレツ日本人サラリーマン。当時はまだ成田は開港していなくて、羽田が唯一の国際空港の時代。日本の国力は大きくはなかったし、インターネットで情報が飛び交っていたわけでもない。イギリスは、今では考えられないくらい遠い国だった。1970年代の日本の高度成長期に日本企業が世界中に羽ばたいたわけだけれど、その尖兵として彼と彼の一家は地ロンドン駐在員として頑張っていたわけだ。S銀行だって日本では大きい銀行ではあったけれど世界の中ではまだちっぽけな会社だったんだろう。仕事でも生活でも今とは違って、たぶんかなりご苦労されたんだろうと思う。そんな時代に高校生が海外に行くなんていうのはまだまだ珍しかった。
お宅でたんまりと日本食を御馳走になり、居間で談笑している時にIさんが言った。
「高校生で、たいしたもんだ。君達にはもっともっと勉強して体を鍛えて、頑張って欲しい。これからの時代は、今まで以上に世界で活躍する日本人が増えなくてはいけない。期待しているからね・・・」と。すごく真剣な顔で真っ直ぐにお話になった。
当時の僕は、それを素直に受け取ったように記憶している。記憶の襞のどこかに染み込んだんだろうと思う。大の大人が、こんな未熟者の自分にむけて真っ向勝負のメッセージを送ってくれた、ということに素直に感動したんだと思う。そして、イギリスへ行ったことは、その後の僕のキャリアにすごく影響があった。英語はその後も一所懸命勉強したし、大学時代はほぼ毎年アメリカに放浪旅行をしたし、医者になってからはアメリカやニュージーランドで生活もしたし、今でもイギリスの医学部学生の研修を受け入れたりしているのも、原点はココにあったんだと思う。
その言葉の場面のの記憶が、今に至るまでずーーーーっとどこかに残っていて、昨日の再会で気付くことに繋がったんだと思う。