March 10, 2008

物理的メモリーの中の人生

おぎゃーと生まれたときから、親が画像をビデオを撮影していて、その人の人生で起こった出来事を克明に記録していたとする。毎日データベースを画像や動画や音声やテクストとして残してゆく。実際出来るかどうかは別問題だけど、テクニカルには今の技術を持ってすればで十分可能だ。今後ITがさらに進めば、ごく自然に無理なく記録できるようになるだろう。その子供達が育って、自分で記録が出来るようになり、今度は親から引き継いで毎日毎日自分の経験したこと、学んだこと、感動したこと、楽しかったこと、哀しかったこと、怒ったこと・・・等々を記録する、とする。小児期・思春期(冬)>青年期(春)>中壮年期(夏)>老年期(そして秋)・・・。死ぬまで毎日毎日。60秒・24時間・365日。つまり、自分の人生を「物理的メモリー」の中に記録するのだ。その時代の人達にはどんなドラマがあるんだろう?・・・というのが今日の空想&妄想。ジムで泳いだ後、サウナに入っているときに閃いた。

プロット1:
男と女が出会って恋愛関係になった。結婚を考えた二人は、お互いのことをもっと知りたくて、それぞれの今まで歩んできた人生の「物理的メモリー」を開けるための「暗証番号」を交換する。そして・・・相手の「一番お気に入りのメモリー」を閲覧した二人は・・・?そのセグメントの中で、ふたりが選んだのは偶然にも「昨日と一昨日のデータ」。唖然とする男と女。喜悲劇&どんでん返しの結末。

プロット2:
どうしても消したい(忘れたい)過去の出来事というのは誰にでもある。とんでもなく恥ずかしい体験や、涙さえ出ないくらい哀しい出来事etc. しかし、そのデータベースは国家が管理していて、自分の一存では改変できないことになっている。犯罪者のその男には、どうしても消し去らなくてはいけないメモリーがあった。その男の消したい過去とは?そしてその顛末は?

プロット3:
死を前にしたその女にとって、自分の人生の「楽しかった場面」を繰り返し眺めるのが唯一の楽しみだった。しかし、そのプログラムには「ある仕掛け」があった。最後の場面に女が観たものは?

プロット4:
それぞれが持っている「人生記録メモリー」を希望通り変更するプログラムを基にしたビジネスを発明した企業があった。しかし、その企業にとって最大の問題は・・・?対象とする顧客のプロファイル。究極のビジネスモデルの行く末は??

プロット5:
生年月日の同じ二人の男がいた。大金持ちなのに孤独で不幸せな男と、ホームレスだけど酔い友達に囲まれて幸せな男。「メモリー」の暗証番号が酷似していて、たまたまその二人が同時にアクセスしてしまった。コンピュータのバグが数億万分の一の偶然を起こした。二人の人生の分岐点にあった共通のメモリーとは?

プロット6:
美しく生まれた女。小さい頃から可愛い、美しいとチヤホヤされて育った。今はトップモデルとして世界中を飛び回る。しかし、彼女にはどうしても消してしまいたい「あるメモリー」があった。そのメモリーとは?そして彼女は・・・。

ははは、いくらでも出てくるぞ。ひさしぶりに面白いネタ。SFの短編集で、ありそうな設定ではあるな。あとはどれだけ書き込めるか、しばらくは遊べそうなネタ設定。

でも、よく考えてみると、想い出は曖昧で自分勝手なものだからこそ、人は人生を進んでいけるものなんだよね。画像や動画や音声できっちりと記録されている「物理的メモリー」という設定は、それが現実ならばタマランわけ。だからこそ、小説的に文学的に面白いんじゃないかな。

ぼちぼち書いてみよう、かな。