February 22, 2008

傷だらけのロックンローラー

総合診療科という医療よろず相談をしている僕の外来。1年前から相談に乗っているロックン・ローラーがいる。日本のハードロックの草分けで(実はあまり知らなかったんだけど)、25年以上プロとして活躍してその世界では超有名人。ヒット曲はカラオケでも有名な人気曲を書いている。でも、ロックンローラーを演じ続けるのはかなり大変な事なのだよね。

大学の文学部哲学科を出ていてインテりジェンスもあるし、刺青ばりばりでちょっとコワめの見ためとは違って、すごく礼儀正しいし、素の彼は本当に繊細かつナイーヴなガラス細工のような人。Youtubeで彼のステージを拝見すると、ちょっと僕の会っている普段の彼とは別人のようでびっくりする。爆発するパワーと筋金入りのロック魂を見せつけられた感じ。両極端なんだな。

でも、だからこそ辛いんだろう。アルコールに溺れてぎりぎりの処でバランスを取っている。痛々しいくらいだ。今日は久しぶり(半年ぶり)に僕の外来に来てくれた。元モデルの奥さんと1歳のかわいい赤ちゃんと共に。止めたはずのアルコール漬けを、いろいろなストレスを抱えて、また始めてしまったみたいだ。摂食障害もある。診察をして、じっくり話を聞いた。僕もミュージシャンの端くれだから、彼の苦しさは理解できる。

大丈夫、立ち直れるよ。自分から病院に来てくれる気持ちになったことは大きな進歩なんだから。一緒に考えていこう!、じっくりと。